仏檀の前に置いてあり、チーンと鳴らす道具です。一般的には「おりん」と呼ばれていますが、
鐘(かね)と呼ばれることもあります。宗派によっては鏧(きん)や小鏧(しょうきん)と呼びます。
これを叩くための棒はりん棒、あるいは、撥(ばい)と呼ばれます。
音を鳴らす仏具は梵音具と呼ばれ、お寺の内陣で使われるものとしては木魚や鏧子(けいす)、
木鉦(もくしょう)などがあります。これらは、お経をあげるときにリズムを取ったり、お経の開始や
終了の合図のために叩かれるものです。家庭で使われるりんも、それらと同じ役割の仏具ですので、本来はお経をあげるとき に使うものです。
ただし、仏さまを呼ぶため、あるいは、場を清めるため、精神集中のために鳴らすという考えもあります。宗派による違いもありますので、詳しくは菩提寺にお聞きになるのがよいでしょう。
除夜の鐘などでおなじみの、お寺の境内にある大きな鐘は梵鐘と呼ばれ、やはり梵音具の一つです。
ご飯をお供えするための仏具が仏器で仏飯器ともいいます。
水や茶を供えるのが茶湯器、果物や菓子は高坏を使ってお供えします。
水は汚れを洗い清める働きがあることから、私たちの心を清らかにしたいという願いを込めて、お供えされます。
食べ物をお供えする意味については、色々と解釈がありますが、仏さまに召し上がっていただくというよりも、感謝の気持ちをお供えしている、と考えた方がしっくりくると思います。
食べ物をいただくことで、私たちは生きていくことができる、その感謝の気持ちを仏さまにささげているのです。
ですからお供えした食べ物を腐らせたりして無駄にしてはいけません。食べられるうちに下げて、おいしくいただくのが本来のあり方です。ただし、いたんだものを食べてお腹を壊してしまったら元も子もありません。衛生面に十分に気をつけたうえで大切にいただいてください。
ロウソクを立てて灯りを灯すための仏具が灯立(ひたて)です。燭台ともいいます。
ロウソクの火は、線香に火をつけるために灯すものと思っている人もいるかもしれませんが、それは違います。線香に火をつけるためにも使いますが、灯立は燈供養具ですので「火を灯して供養するための仏具」という理解の方が正しいです。
この灯りのことを燈明といいますが、燈明は仏教にとってとても大事なものです。たとえば、燈明は闇を照らして明るくすることから、迷いの世界に暮らす私たちに明るい希望を与えてくれる仏さまの智恵にもたとえられます。また、仏さまの教えを受け継ぐことを、法燈を継ぐともいいます。
家庭用の吊り灯籠が使われます。お盆に飾られる盆灯籠・盆提灯も燈供養具です。また、灯籠流しも燈供養の行事の一つです。
花立は、花を供えるための仏具です。生花を供えるために使われることが多いですが、華鬘(けまん)や常花(じょうか)のように金属や木などを素材とし、花を模して造られた仏具もあり、これらも華供養具になります。
仏檀に花を飾るのは、花の芳香によって邪気を払い、場を清めるという意味もありますが、私たちの眼を楽しませてくれるという効果も大切です。花は仏さまに供えるものですが、仏さまの方に向けずに、私 たちの方から見て美しく見えるように供えます。これは、私たちが美しいと感じ、見て喜ぶことができるよう花を飾るようにしましょう。
「仏さまが私たちを救いに、この世界に来て下さるときには、天が仏さまを讃えて花を降らせる」という話も伝わるように、昔から仏教にとっては花は重要なものでした。お釈迦さまの誕生を祝う「灌仏会」という行事は「花祭り」とも呼ばれ、たくさんの花で飾られます。
線香や抹香を焚くための仏具が香炉です。家庭では一般的に線香が用いられています。
香を焚いて宗教的な儀礼をおこなうことは古代から多くの地域で行われていました。
仏教発祥の地であるインドでも、多くの香木の産地ということもあり盛んに利用されていました。
仏教では、香を焚けば心身を清め、感覚を研ぎ澄ますとされ、特に大切にされてきました。
日本へは仏教の伝来とともに香が伝わったと考えられています。
線香を焚き、その香りを嗅ぐことで仏教の礼拝をしている実感がわいてくる人も多いのではないでしょうか。それだけ仏教と線香の関係は深いのです。例えば、弔問に伺っても線香を焚きます。葬儀や通夜に参列したときに香典を包みますが、これは香の代わりにそなえるお金という意味です。
線香の扱いで注意したいのは、火をつけた後、その炎を口で吹き消してはいけないということです。
右手に持った線香にロウソクで火をつけたら、左手で扇いで消します。
Author:kariyaButsu
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